予期せぬ命中

　ぐしゃっ。
　
　まさか当たるとは思わなかった。
もちろん、狙って撃ったからには、当然当てようとした訳だが。でも、今までの確率からいうと、まず当たらないはずだったのに。当てるつもりなんか無かったのに。

　昨日今日と、東広島市西条では酒祭りが行われました。昨日は十万人の人出だと新聞にありました。
　息子がくじをひいて、ぱちんこが当たりました。庭に落ちている棗（なつめ）の実を飛ばして遊んでいました。棗なら、当たっても大丈夫かな、石を人に向かって飛ばすなよ、と言いながら、棗の軌跡をみていました。

　ふと、私が息子と同じ歳の頃の一件を思い出しました。
小石を拾って、ぱちんこで飛ばす。なかなか標的に命中しない。何回も練習するが、滅多に狙ったところには当たらない。
　友達の家に遊びにいったとき、池の向こう岸に、蛙がいた。何とはなしに、それを目がけて、ぱちんこを撃った。
　ぐしゃっ。
思いがけず、命中した。当てるつもりなんかなかったのに。当たらないはずだったのに。悪いことをしてしまった。
いまだ覚えている、小学生時代の一こまです。記憶が鮮明なのは、罪悪感のなせる技か。