聖徳太子もどき

 聖徳太子は、一度に幾つかの仕事ができた、とかつて聞いたことがあります。ほんとうかどうかはわかりませんが。一方、その他諸々の凡人は、一度に複数のことに集中できない、ということになっています。普通、一つのことに集中すると、当然、そのことだけに頭(集中力)がいってしまい、同時に何かを考える、もしくは平行して何かを実行する、といったことは難しくなります。

 先日、横断歩道で信号待ちの時、通過する車を観察してみましたが、運転席で携帯電話を構えている人が少なからず見受けられびっくりしたことがありました。世の中、聖徳太子が多いもんだと感心しました。今月はじめから、携帯電話を使いながらの自動車の運転に対し、以前より罰則が強化されたそうです。罰則を強化しなければならないほど世間には聖徳太子もどきが多いというわけですね。

 ところで、先日新聞をにぎわしたある話題。イラクに行き、運悪くテロ組織に捕まり、最悪の結果になった無垢の青年のはなし。この場合、自分の行動の結果の一番の被害者は、自分自身でした。親に心配をかけた、国やその他にいらぬ迷惑をかけた、などいろいろあったかもしれませんが、最大の被害者は、自分自身でした。
 さて、ケータイで注意力散漫になり交通事故を起こした場合、最大の被害者は誰でしょうか?自分自身であれば自業自得で問題ないのですが、交通事故の場合、たいてい相手がいるわけです。たまたま、自称聖徳太子の近くにいた、無垢の方が被害者となります。それがもしかしたら、私かもしれませんし、私の知り合いかもしれないし、あなたの子供かもしれません。宝くじに当たるより、運悪く聖徳太子もどきの車にぶつけられる方が、確率は高そうです。
 世間を騒がした無垢の青年と、とりあえずは何も問題を起こしていない、
聖徳太子もどき、さて、どちらが罪深いのでしょうか。