うらやましい遺言

 子供の頃、運命ゲームという双六ゲームにはまっていた時期がある。
ゴールが終わった時点で、財産がどのくらいあるかを競うものである。
確か、ゴール近いところに、遠縁の親戚からの巨額の遺産が手に入る、といったマス目があったように記憶している。うらやましい。
 ほとんどあっていない親戚から、突然巨額の遺産が転がり込む、夢のようなマス目である。ほんとうにうらやましい話だ。
 私にも、外国に大富豪の知らないおじさん、なおかつ、跡取りがいないおじさんがいて、ある日ぽっくり逝ってしまって、私に巨額の遺産が転がり込む、なんてことがあったら。ああ、想像するだけでも嬉しい。
 そんなことあり得ないけど。

 さて、世の中には信じられないこと、まか不思議なこと、想像を絶することが起こりうる。
なんと、一匹の犬が、14億円もの遺産を相続したそうだ。お犬様誕生だ。
米国のホテル女王様が死去し、愛犬にとんでもない額の遺産を残したそうだ。信じられない。犬がどうやって使うのだろう。
犬公方、徳川綱吉でさえ、そんなに巨額を犬のためには使っていないのではないか?

 犬の寿命は十数年と聞くが、ということは、相続した犬が幼犬であるとしたら、単純計算で、一年あたり1億は、使わないといけない。一日あたり、30万程度。なるほど、三食たべるとしたら、一食に十万円かければよいのか。高級食材のドッグフード(そんなのがあるとして)を、飽食三昧したら、使い切るかも。
 ただ、飽食三昧すると、寿命が短くなっちゃうかもしれない。犬が14億円使い切るのは、至難の業と思われる。使い切ってないうちに死んじゃったら、残りの遺産はどうなるのか。残りの遺産をめぐって、骨肉の争いが起こるかも。お犬様のおこぼれを人間がもらうことはできるのでしょうか?アメリカの法律はどうなっている?そこが気になる私であった。
 ところで、我が国では、犬公方、徳川綱吉の死後、あっという間に、生類憐れみの令は、撤廃されたそうだ。しかも、綱吉の葬式が終わってないうちに。皆さんよっぽど腹に据えかねていたんでしょうね。
 米国のお犬様の名前は、トラブルちゃんだそうだ。名前がしゃれている。今回の出来事が、トラブルの元になれなければよいが。
周りの皆さん、トラブルちゃんをかわいがってね。後見人の死後、あっという間に葬り去る、なんてことのないように。