息子の眼鏡

 息子に眼鏡が必要になった。
 私自身が目が悪くて不自由しているので、息子には視力が悪くなって欲しくないと思っていたのだが、残念なことである。眼鏡をかけていないときは眼鏡に憧れていたが、いざかけるようになると、やはり不便なものである。視力が悪くなった原因は、勉強のしすぎ?ではなさそう。漫画を悪い状況で読んだか、ゲームが原因か、読み書きの時の姿勢が悪かったか、だと思うが。
 今日、さっそく眼鏡屋さんに行った。最近は色とりどり、デザインいろいろ、素材もいろいろ。目移りするほど眼鏡が並んでいる。ショーウインドーを覗いてみると、三十万、四十万、といった値札がついている眼鏡があった。びっくり。こんな眼鏡もあるんだ。18Kで、鼈甲を使っていたり、贅をつくしたものもあった。きっと、すばらしくよく見えるだろう。でも眼鏡が必要でないのが理想だ。
 さて、息子にとっては初めての眼鏡。あれにしようか、これにしようか、いろいろ迷う。本人はそれほどでもないが、外野がうるさい。青がいいよ、いや、やっぱりブロンズがいいか。ハリーポッターみたいなのがよい、いや、もっと賢く見えるのがよい。これだと、のび太みたい。大きな鏡を前に、あれこれと眼鏡を掛け替え、品定め。
 どうにか決まった。
 鏡に映し出された息子をみて、一瞬心が騒いだ。
三十年前の私がそこにいた。