こどもの勲章

 一緒に広島に行く?それともサッカー?
もちろんサッカーだ。ということで、次男と一緒に運動公園に行った。
 用事のある家内と長男は、広島へ。見送りに行った帰りに、次男と、運動公園に行った。子供用の遊具と、芝生の広場がある。もちろん芝生は冬景色、茶色になっている。風が冷たい。
 次男は、広島の街中を歩くより、サッカーがしたい、とのこと。サッカーといっても、ふたりで、ボールを蹴りあいこする程度。身体の大きさが違うので、私の方がパワーがある。でも、脚の動かし方、ボールのコントロールなどは、息子の方が遥かにうまい。毎日近くの児童公園で練習している(遊んでいる)からな。この前は、リフティングがもう少しで百回だった、といっていた。私は三回もできない。
 風が冷たい。ボールを追っているときはそうでもないが、じっとしていると、さすがに寒い。寒いからか、人の数は、閑散としている。でも、遊んでいる子供達は、なんと元気のいいことか。厚い上着を脱ぎ捨て、駆け回っている。顔を赤く火照らせ、笑顔が輝いている。冬のどんよりした空に、子供達の歓声がこだまする。
 ボールを追っていると暖かくなってきた。疲れてきた。のどが渇いた。それではと、帰りに大型スーパーへ寄る。お目当ては、本屋さんと、喫茶店。おのおの一冊ずつ購入。紅茶をすすりながら本をしばし読む。
 公園は閑散としていたが、スーパーは人出がいっぱい。雑然としている。子供も沢山。泣き声や、早く、早く、とせかす大人の声が渾然としている。
 さっきから、息子の歩き方がぎこちない。右足に手を置いている。ん?よく見ると、ズボンに大きな穴が開いていた。公園で、芝生の上をはでに転げ回っているあいだに、いつのまにか穴があいたようだ。それを隠そうとしているので、へんな歩き方になっている。べつにいいじゃないか、こどもの勲章だ。