しらさぎ

 もうすぐ4月。でも今朝は冷えた。さすがに氷はもう張らないが、空気は冷たい。
川沿いの散歩道。小川には鳥たちが散見される。鴨の類。流れに茶色が群れる。
そして、真っ白の鳥。川中にぽつんと、白鷺が立つ。微動だにしない。孤高の白さ。なぜ白いんだろうか。目立ってしまうだろうに。いつみても純白。朝日に映える。
 張りつめた冷たい空気。朝日に輝く川の流れ。そこに白鷺。
 ああ、なんと詩的な情景。
 向こうの流れの中程にも、白いものが見える。あそこにも白鷺か。最近、浚渫工事で、きれいさっぱりした辺りだ。なんとなく薄汚れているようだが、よごれた白鷺もいるのか。
 少しずつその白に近づく。どうも鷺ではないようだ。なんだ、買い物のビニール袋だ。浚渫工事のとき、測量するのに、川の流れの真ん中に杭を打ったのだろう。その杭にゴミがたくさんひっかかっている。一番上にビニール袋がひっかかっているものだから、遠くからは、白い鳥が川中に孤高に佇んでいるように見える。
 きれいに浚渫工事された川。一本の杭。それにまとわりつく、たくさんのゴミ。
周りがきれいさっぱりした分、ゴミが余計に目立つ。がっかり。
 ああ、なんと人工的な情景。