999

　コンビニで、驚きの体験をした。こんな経験をした人は、珍しいんじゃないかと思い、自慢半分で、報告する。
　なんと、購入品の合計金額が、999円だったのだ。
こんなことって、珍しいんじゃないか？しかも、これは消費税込みだ。品物の値段だけなら、うまく計算して999円にできないこともないが（ただしその場合、不必要なものも買うようになりそう）、消費税込みで、ぴったし999円!!!なんと。もちろん、そういう数字になるように計算しながら買い物したわけではないのだ。偶然なのだ。
　なんという美しい数字なんだろう。555とか、888なんかより、遥かに美しい。777もいいけど、999の方が、もう一丁、あと一息、といった不安定な美しさが感じられる。999、かつての憧れのメーテルが脳裏に思い浮かんだ。はかなそうで、しかも強く、そして美しい。
　999円です。といったお店の人も、なんとなく嬉しそう。それを聞いた私は、思わずレジスターに表示されている数字を確認してしまった。後ろに並んでいた他のお客さん達も、珍しいものを見た、といった表情。ほー、といったため息が後ろからもれた。やはり凄いことなのだ。
　自慢ではないが、私は、くじ運は悪い。小学１年生のとき、一回だけ誇らしい経験があるが、それ以来くじでいい思いをしたことはない。今回はくじではないが、まあ、似たようなものだ。賞品はなんですか？と思わずお店の人に尋ねそうになった。