ムカデ

 布団をあげていたら、なにやら黒くて細長いものが、もぞもぞと動いた。ん?よく見るとムカデではないか。びっくり。近くのタンスの下に潜り込んだ。おい、よく見張っておれ。息子に命令し、自分はプラケースを取りに行く。直ちにもどり、タンスを動かしにかかる。重いタンスを少しずらすと、ムカデが出て来た。息子のほうに向かって這っている。ひやーっ。後ずさりする息子。今度は、座布団の下に潜り込んだ。座布団を一気にひっくり返す。ムカデが出て来た。すかさずプラケースに追い込む。うまく捕獲できた。大捕物が無事終了。その後、外で処分させていただく。かわいそうだが、仕方ない。それにしても、就寝中に刺されなくて良かった。
 実は私は、今まで二回ほど、ムカデに刺されたことがある。いずれも、就寝中である。一回目は、二十数年前。左足親指に激痛を感じて目が覚めた。なにがなんやら解らなかったが、よく見ると、ムカデが足に張り付いていた。痛みもさることながら、その異様さ、気色悪さにぎょっとしたものだ。二回目は、数年前、今回の捕獲劇と同じ場所。やはり左足の痛みで目が覚めた。前回の記憶から、すぐムカデだと気がついた。
 それにしても、寝ているときに、あの異様な姿態の生き物が自分に近づき、のそのそと足にのぼってくる状況を思い浮かべると、ぎょっとする。
 ところで、ムカデの脚って、何本有るか、皆さんご存じですか?百足と書くけど、ほんとに百本?とてもじゃないけど、数えてる場合じゃないですよね。