合成の誤謬

ぴろぴろん、バックします、ご注意ください。
ぴろぽろん、バックします、ご注意ください。

 大きなトラックが動くとき、曲がるとき、バックする時に、周りの諸々を巻き込まないよう、注意を呼びかける人工音(?)があります。死角がどうしてもあること、周りにいる人々に注意を呼びかけること、要するに事故を未然に防止するために、女性の声で周りに呼びかけます。トラック様が通るぞ、諸々のちびども、そこのけそこのけ、トラック様が通るぞ、近寄ると危ないぞ、退かないと巻き込んじゃうぞ、という警告音です。無粋な音だと味気ないので、女性の声色を使って、注意を呼びかけます。
 いつ頃からこのような装置が搭載されるようになったのか私は知りませんが、これはこれで、事故の防止に良いことだと思います。
 ところで。
今日、とあるコンビニに買い物に行きました。車から降りようと、ドアーをあけると、この警告音が。え?え?周りを見渡しても、トラックはいないぞ?え?
 注意深く観察すると、すぐそばで、バックしている普通の乗用車からこの音がしているようです。ふーん、普通車が警告音を発しているのか。
確かに、動きを周りに発するということは、事故の防止にとても良いことだと思います。
でも、ちょっと考えてしまいました。もしすべての車がこの音声警告装置(というんでしょうか?)を搭載すると、世の中、騒音だらけになるのではないでしょうか。車の出入りの多いコンビニの駐車場なんか、いろんな警告音でパニックになってしまいそうです。バックします。動きます。左に曲がります。いったい、どの車がどの警告音を発しているのか、わけわからんぞ。結局、なにも音がしないのと一緒か。すべての車がこれをすると、町中、意味のない騒音だらけになっちゃうかも。
 個別に考えると良いと思われることでも、みんなが一斉にしてしまうと、困ったことが発生する。そういうことがあります。合成の誤謬
 件の乗用車が、事故防止のためにこの装置を搭載したのか、ただの受け狙いでしたのか、その目的は解りませんが、一瞬びっくりし、疑問に思った人物が一人いた次第です。
 
 今回の衆議院解散、そして選挙結果が、これでなければよいのですが。