今年は、愛

 日本漢字能力検定協会が発表した今年度の漢字は、

だそうです。意味ありげな選択です。
 応募総数のうち、愛の得票率は、4.7%であったとのこと。あまり多いパーセントではありませんね。この数を超える得票数を得た漢字が他になかったのか、それとも、主催者が意識的に、少ないが意味深な漢字を選んだのか、そこのところは解りません。
 4.7%の人が、なぜ愛を選んだのか?愛に満たされているから?それとも、愛が足りないと感じているから?
 愛にもいろいろあるようです。性愛、家族愛、人間愛、動物への愛、モノへの愛、などなど。自己愛、金銭愛、なんてのもありますね。
 ところで、今年の経済財政白書によると、社会保障や公共サービスなどについて、生涯にわたって、どれだけ受益、負担があるか、について試算しています。今のままのシステムが継続されれば、60歳以上の人は、4900万円の受け取り超、一方、19歳以下は、4600万円の支払い損。
さて、これは公平か。問題ではないのか?
60歳以上の人々は、選挙権があって、社会的に発言力がある。19歳以下は、選挙権なし。政治を動かせない。世代間の闘争という言葉がありますが、現在の政治システムでは闘争にさえなり得ないようです。おそらく。
 日本経済新聞社の若者調査のデータ(本日の新聞、5面)では、現在の年金の仕組みに対し、納得できないという若者が24%、釈然としないがしょうがない、というあきらめムードの若者が39%とのこと。つまり6割以上の若者が、現在のシステムに不満を表明しているようです。さて、60歳以上の方々に同じアンケートをした場合、どのような結果になるのでしょうか?一度してみたら面白いのでは?
 前々から、世代間で、負担と給付に大きな格差があるといわれています。ところが、積極的にそのシステムを変えようとする政治家はいないようです。少なくとも、変えなければならない、という政治的な大きなうねりは、今のところ期待できないようです。問題が解っているのに、政治家は変えようとしない。なぜでしょうか?
 さて、今年の漢字に、 ”愛” が選ばれました。自己愛、金銭愛が満ち満ちている、ということへの皮肉でしょうか?それとも、家族愛、人間愛をもって、対処しなさい、という戒めの意味があるのでしょうか?
 若者から希望を奪うシステム。何もしない先輩たち。世代間の闘争という言葉がありますが、現在の政治システムでは闘争にさえなり得ないようです。”闘争”ではなく、”愛”がでてこなければ、おそらくシステムは変えられないのでしょう。