犬は飼い主に似る?

「お宅のsちゃん、お宅のむすこさんによく似ているね。」
ご近所の或る方から、言われた。
sというのは、我が家の飼い犬です。我が家には息子が二人いる。そのどちらかに、犬がよく似ているというのである。
 喜ぶべきか、悲しむべきか。
息子が聞いたら、なんて言うだろうか。喜ぶか、悲しむか?
 我が愛犬が、人間のように知的な顔をしている、という褒め言葉なのか?
それとも、我が愚息が、犬のような(マヌケな?のんきな?それとも精悍で理知的な?)顔をしている、ということなのか?
 ところで、二人のうちの、どっちに似ていると言ったんだろうか?親の私からみて、どちらにも似ていないような気がするんだけど。さて、どっちか?
「お宅のsちゃん、お宅のむすこさんによく似ているね。」これを、
兄が聞いたら、多分、「うん、hに似ていると思う。」と言うだろう。hは弟です。
弟が聞いたら、多分、「うん、tに似ていると思う。」と言うだろう。tは兄です。
 さて、このところ、我が愚息は、のどの調子が悪いらしく、えへん、えへん、と咳払いをよくする。
 昨日、ひなたぼっこを兼ねて、庭で草むしりをしていた。うしろで、咳払いが聞こえた。
「あれ、遊びにいったんじゃなかったっけ?」
振り向きざま、一声発した。
あれ、びっくり。そこには息子はいない。
 残念なことに、我が愛犬が、のんきな顔してこちらを見ていた。
 やっぱり、似ている。**に似ている。
 ところで、我が愛犬は、私に一番似ているとの、もっぱらの評判です。