長男の名前、次男の名前

 次男が国語の宿題をしていた。漢字の書き取りをしている。傍からのぞいている私。帯、という漢字がちょっと気になった。上の縦3本線は、みんな同じ長さなの?調べてみよう、ということで、漢和辞典の登場となった。
 辞典を引く私。たまたま開いた音訓索引のページで、ある漢字に赤鉛筆で印がつけてあった。懐かしい。おーい、ちょっと来てみろ、と長男を呼んだ。ほら、お前の名前を決めるとき、この漢和辞典でいろいろ調べたんだ。その時の印が、此処に或る。へー、と覗き込む息子二人。
 長男の名前につけた漢字に、印がしてある。懐かしい。もう十年以上も前だ。あの時は、初めての子供ということもあり、赤ちゃんの名前のつけ方、という本を二冊も買い込んで、誕生の半年以上も前から、あれこれと名前を考えた。どの字がいいかな、と漢和辞典をあっちこっち眺めたものだ。
 長男と私の会話が終わるや否や、
次男は、自分の名前の漢字を、その辞典に求めた。
お父さん、僕の字には、印がついてないよ。
 ごめん、お前の名前は、お前が生まれたその日に、あっという間に決めたんだ。辞書なんてひいてない。