紅い絨毯

 

 
 今年の夏は暑苦しく、しかも長かった。
気がつけば、いつのまにか、10 月となっている。

 昨日から、そこここに金木犀の芳香が漂っている。
我が家の庭と朝の散歩コースに四本、金木犀がある。それらが示し合わせた様に一斉に開花した。
一斉に芳香を漂わせている。

 季節は確実に巡っているようだ。

 田んぼの畦、川の土手では、紅い花が咲き誇っている。
彼岸花、今年は例年より遅いようだ。

 先日の新聞に、吉舎町の彼岸花が見頃であると載っていた。
散発的に咲いている彼岸花はよく見るが、密生しているものはまだ見たことが無い。
ドライブ、昼食をかねて、素晴らしいと噂に聞く かの密生地に見学にいったのである。

 毒々しいまでに鮮やかな紅の集合体を堪能したのであった。



(photo by hito)

夏の名残

 金木犀の香りがそこここに漂い、季節の移り変わりを感じる今日この頃である。
だんだんと肌寒くなってきた。そろそろ暖房器具をチェックしないといけないな、と思うのである。

ところが、昨晩、と言うより今日の未明、思わぬ出来事、夏の名残に遭遇したのである。

ブーン、という羽音。
蚊である。

 もう寒いので、顔だけ出して寝ていたのであるが、その顔にちくりときたのであった。耳の周りを飛んでいる。
初めは夢かと、うとうとしながら思っていたのであるが、どうも現実のようだ。
認識するのにしばし時間がかかった。
 顔にとまったところで、ぱちんとやったのであるが、残念ながら逃げられた。
眼が覚めてしまった。
絶対に退治してやろうともくろみ、今度は、左手を布団から出したのである。
右手でぱちんしようと思って。
 敵もさるもの。なかなか出した左手にはとまらない。耳の周りをぶんぶん飛ぶのである。うるさく。
 いつまで経っても手に止まらない。作戦を読まれたようだ。
またほっぺに止まった。ぱちんしてみたが、外れた。
 ますます眠気が覚めた。 
 夜中にこんなことをしている場合ではないのである。
明日に備えて、充分睡眠をとり、休養しなければならない。はやく退治しなければならない。そう考えると益々焦って、たかが蚊ごときに、ムキになってしまうのであった。
 ムキになればなるほど、ますます眠気が覚める。悪循環。
気分転換にトイレに行った。
再び布団に入って、耳を澄ます。
敵に備えて。でも、それっきり、羽音はしなかった。
良かった。
いつの間にか、眠りについたのであった。

 翌日、つまり今日。
やっぱり眠気があるのである。
コーヒーで誤魔化そう。

枯葉に宝石

ハンミョウ

 早朝、庭でハンミョウをみつけた。

 朝露が体表に付着し、美しい。
いつもは近づくことが困難な虫だが、今回はかなり接近できた。
まだ眠っているのだろうか?それとも、もしかして死んでいる?


 金属光沢のある派手な色合い。まだ眠気が残っていた脳天に強烈に焼き付いた。

 ところで、わざわざ枯葉を選んで鎮座しているのはなぜだろうか?
意識的に枯葉色を選んでいるのか?それともたまたま?
自分の美しさを引き立てるのは、光沢のある緑より、茶色の枯葉だと、知っているのだろうか?

 少しばかり不思議に思った。

広島県東広島市にて撮影

空から降ってきた

 昨日、三次で、オタマジャクシが空から降ってきた、とのこと。
先日石川県でも、オタマジャクシや小魚が、多分、空から降ってきたのであろうという珍事が起こっている。
 理由はわかっていないようだ。
竜巻などの自然現象?鳥が空中ではき出した?などなど諸説があるようであるが、決定的な理由はわかっていないようだ。
なぜオタマジャクシなのであろうか?

 話変わるが、私の住んでいる地方には、ため池が多い。
そこには、たいていの場合、なぜか、いわゆる外来魚、というのが住んでいる。ブラックバスブルーギルなど。本来は日本に棲息していなかった魚たちである。
たぶん、釣りを趣味とする人たちが、放流したのであろうと思っていた。
 以前、山間のかなり奥まったところにある池で、何気なくのぞいたら、やはりブルーギルがいたのを見て、ビックリしたことがある。
なんでわざわざこんな、へんぴな所に?こんな所まで来て釣りをするのだろうか?ご苦労なことである。と思ったのだ。

 なんでこんな所に外来魚が?と、ふと漏らした私の言葉をきいて、当時小学生だった息子が一言。
 空から降ってきたんじゃないの?
 
 今回の件で、それを思い出したのである。
自分の趣味、もしくはもうけのために生態系を全く考えずに放流する人がいる、と考えるより、空から降ってきた、と考える方が、よほど夢がある。

鼻がむずむず

 そろそろ、鼻がむずむずしてきた。

 2〜3年前から、どうも花粉症の症状が出てきたようだ。
それまでは、春先にマスクをしている人たちをみて、私は大丈夫だぞ、よかった、と思っていたものだ。やっぱり大丈夫ではなかったってことか。残念。
 花粉症っていうのは、ある年、突然発症するものなんだろうか?たぶんそうみたい。まあ、来年から花粉症になるよって、あらかじめ分かるわけないから、突然、ってことになるのだろう。でも、なんで、今頃になって、こんなことになるのか、やはり理由を知りたい。そもそも、花粉症ってなんだろう?
 鼻がむずむず、鼻水が出る。目がかゆい、結果、快適ではない状況が続くのだ。今のところ、そんなに程度はひどくないが、今後、ますます症状がきつくなるのだろうか?不安だ。
 症状が出る前から、薬を服用するのです。とある人から聞いたことがある。何年も前に。かわいそうに、とその時思ったものだ。私もそのうち、そのようになるのかな?うーん、やっぱり不安。かわいそうに、と、将来の花粉症予備軍に思われるのだろうか。悲劇は繰り返されるのだ。

 今日はとても暖かく、4月ではないかと思ってしまう、うららかさだった。
花粉が飛び出したのだろう。ああ、また寒さが戻って欲しい。雪が降って欲しい。雪の華が、空中の花粉を、根こそぎ抱きかかえて水となって海に注いで欲しい。そうすると、私の快適な春が取り戻せる、かもしれない。

中古カメラ

 私はカメラが好きである。写すのも好きだが、お店に行って、眺めるのも好きである。これいいなあ、あれもいいなあ、と思いながら眺めるのである。別に買う予定はない。
 特に、中古を眺めるのが好きである。何か掘り出し物がないか、前々から欲しかった、けど、値段の折り合いがつかず結局買ってないものが、意外な低価格で出てないかどうか、覗いてみるのである。意外な低価格、ってのは、まずない。でも、新品だったらたぶん買わないだろうが、なぜか、中古で出ていたら、思わず買ってしまいそうなのである。
 以前、といっても、二十年くらい前だが、広島市内に通っていた時は、えんこう橋〜的場近辺にカメラの中古屋さんが幾つかあって、ショーウインドウを覗くのが楽しみであった。来る日も来る日も、覗いてみたのである。駅前に預けていた自転車で通学、通勤していたのだが、その機動性を生かし、しばしば、ちょっと寄ってみたのである。かつてのメイン機種、オリンパスOM4-Ti、そして、マクロ90mmF2は、こうやって手に入れたのである。新品では、とても手が届かなかったのである。中古が出ないか、出ないか、長いこと期待して、覗いていたのである。ある日、願いは天に通じ、ショーウインドウの奥に鎮座していたのである。これ頂戴、思わず言ってしまったものだ。
 今日、近くのカメラ屋さんに寄ってみた。この店には中古コーナーがある。お目当てがあったわけではないが、ちょっと寄ってみたのである。ニコンの古い広角レンズが出ていたら嬉しかったけど、出てなかった。
 でも、一つびっくりしたものがある。マニュアルフォーカスの、古いペンタックスの100mmマクロレンズが、88000円であった。かつての名機、ペンタックスLXの時代のものだと思う。うそ?ゼロが一個多い?かつての定価より高い設定である。おすすめ、と表示してあった。うーん、わからん。特殊なレンズなのかな。でも、これが本当であれば、嬉しい。なぜなら、100mmマクロは持ってないが、同じシリーズの50mmマクロを持っている。これが高く売れるかもしれないぞ。今使ってないから、売っちゃうのもいいかも。この値段が本当なら。帰って、さっそくインターネットで調べてみよう、と思ったのである。でも、たぶん、桁を間違っているんだろうなあ。
 そうそう、今や電脳、インターネットの時代。検索すれば、欲しいカメラ、レンズの中古が出品されてないかどうか、簡単に調べられるのである。でも、これは面白くないのだ。
 毎日毎日、古びたショーウインドウを覗くのが、面白いのである。掘り出しものがないか、変わったものがないか、来る日も来る日も、覗いてみるのである。

動き出した古い時計


チクチク、懐かしい音が。
ふと見ると、
止まっていた時計が、突然動き出していた。なんで?
針が一本外れて、時計としては用をなさないが、デザインが気に入っているので机の上に置いていた古い時計。
いつか修理しようと考えていたのだが、そのままになっていた。もう何年動いていなかったのだろうか?
埃をかぶっていたので、拭いてあげた。

触った憶えはない。なぜか、突然動き出した。
理由はわからないが、何となく嬉しくなった。
なにかいいことがあるかも。